June 11, 2018

 

分離派の夏 / 小袋成彬

すべての曲が終わった時、まだ終わりじゃないと信じたくて
目の前のディスプレイに表示されたT14 49:23を何度も目をこらして見て
秒数が24.25.26…と進んでいるように信じ、どこかで鳴っている音がこのアルバムの続きであるように耳を澄ませた。

過去という美しさだけでなく、未来という美しさを初めて感じた音楽だった。

よくある今っぽい昔っぽいなんとかっぽいなんて言葉はこの文章を書いていてたった今初めて思い出したくらいで、と、今この文章を書いて自分がどれだけこれそのものと対峙していたかを感じて再びこのアルバムすごいなぁと思った。

自分は服を作ることで言葉にならない思いや感情を整理することができて、生きてることが実感できて、前を見ることができる。

服を作ることは必然で、でもどんなにそう分かっていても不安はふとしたときに出てくる。だからこのアルバムの冒頭の語りは自分の心の中をはっきりと言葉にして肯定してくれたようで、冒頭の語りが始まった瞬間は目がひりひりとしたけど、当たり前のように話すこれに救われたと曲が進むうちにしみじみと思った。

服を作る上でひとつだけ意識的に大切にしていることがあって、
それは美しい思い出を形として残したいということ。
嬉しくて幸せで
切なくて悲しくて
たまに怒りもあって
苦くて甘くてすっぱくて
自分にとってこれ全部美しい思い出で、
忘れたくない大切なあの時。
いつもオレンジの色につつまれて、
靄がかかっていて艶やかで。
この記憶を思い出すような服を作りたい。

そう思って今も作っていたんだけど、今日分離派の夏を聴いて、”すべての曲が終わった時、まだ終わりじゃないと信じたくて……過去という美しさだけでなく、未来という美しさを初めて感じた音楽だった。”と。では自分は服を作ることで前を見ることが出来るなら、意識して過去を形にしていてもそれと共に自然的に未来も感じられるものが作れているのか。

こんなにも心が動いた